今週末(9/5)、はまゆう山荘で『群馬ジャズフェスティバル2010』開催

jazz1.jpg振り返るとその時の体の重さで普段聴く音楽のジャンルが異なっていた。

70kg台だった学生の頃はクラシック。ほぼ毎晩コンサートホールのハシゴで、
バイト代もほとんどをこの趣味に費やしていた。

社会人になってから随分体重が落ちた。65kg前後だった当時没頭したのが
モダンジャズ。そして限りなく80kgに近づいた今は専ら古典落語を子守唄
代わりに流している。


これは多分もう戻らないだろう身軽だった頃の話。

高崎の繁華街、柳川町の交番の向かいにFさんのスナックがある。酩酊状態
の客に絡まれても苦労なく避難できそうな立地のこのお店は、知る人ぞ知る
ジャズスポットでもある。

社会人になってはじめてボトルキープをしたのもこの店だ。

10席足らずのカウンターの正面には、ボトルとCDが半々くらいズラリと並ぶ。
CDは全てジャズ。優に2千枚は超えるだろう。当時は新譜も殆どここで聴けた。

その後ろ、つまり飲客は背を向けていることになるスピーカーは背丈くらいある
JBL、またカウンター脇にはマッキントッシュと真空管製のアンプが備え付け
られている。オーディオファンにとっても垂涎の品々ばかりだ。

Fさん主催のコンサートも以前は年数回開かれていた。その顔ぶれは壮観だ。
ミルト・ジャクソンやマイケル・ブレッカー、レイ・ブラウン・・・。長年、高崎に
ジャズ界の巨匠たちを招いてきたのが他ならぬFさんだった。

それだけではない。

まだ無名だったジョシュア・レッドマンやエリック・アレクサンダーの才能を一早く
見出し、初来日時のステージをこの街で実現させた。ステージ後の彼らがこの
お店のカウンターでFさん手作りの家庭料理を楽しんでいる写真が残っている。


10年くらい前だろうか。Fさんのお店で飲んでいると、ひとりの客が入ってきた。

すると普段は自身がその日の気分で選んだCDを必ず最後までかけ続ける
Fさんがめずらしく曲中でディスクを入れ替えた。

間もなくして流れてきたのはアート・ブレイキーの『モーニン』だった。その人の
お気に入りなんだろう。ロックグラスを手にすると私の方に軽く会釈し、ゆっくり
ウィスキーを口に含んだ。

コツコツとリズムに合わせてグラスをカウンターにあてる音が聞こえてくる。
自然と私も、同じくそのリズムに加わった。

今思うと、とても印象深いひと時だった。でもどことなく漂うその人のオーラに
圧倒され、会話らしい会話は交わせなかったような気がする。

その人の姿を再び目にしたのはそれから数日後のこと。新聞の経済面だった。
その企業始まって以来の人員整理計画を発表するその人がいた。

そういえば私はいま、その会社のPCでこのブログ原稿を打っている。

あの幸福そうにグラスを傾けていたその人が、その時何を考えていたのか、
胸中どんな想いだったのか。ブレイキーのこの曲を耳にするたびに思い出す。

jazz2.JPG今週末、倉渕のはまゆう山荘で『群馬ジャズフェスティバル』が開催される。
第1部は県内の大学のビッグバンドが、第2部ではベテランの辛島文雄らが
出演する。

大自然に囲まれた山荘の野外広場でのステージ、客席のまわりでは地元
食材を中心とした各種料理も楽しめる。

久しく聴いていないジャズ、気分は身軽に出かけてみたい・・・。

◎はまゆう山荘
 http://www6.wind.ne.jp/hamayu/