2010年6月アーカイブ

榛名の黄昏 Twilight of Haruna

twilight1.JPG梅雨の谷間の夕焼け空を思わせるようなカクテルに仕上がった。

充分に冷やしたフルート型のシャンパングラスにベースリキュールを1/5、
そこに中甘口のシャンパンをゆっくり注ぐ。

そのまま少しの間を眺めていると、比重の違いからリキュールはグラス
の底にそっと沈んでゆく。

飲み口に近づくにつれシャンパンの黄金色が色合いを強め、見事な
グラデーションを織りなす。何処からともなく繊細そうな気泡がおもむろに
数本の螺旋模様を描きながら、閑雅にたちのぼる。

先日、市内のカウンターバーのマスターのSさんに作っていただいたこの
カクテルを、「榛名の黄昏 Twilight of Haruna」と命名したい。

twilight2.JPGザクロ果汁から抽出するカクテルの定番材料、グレナデンシロップを用い
ても、見た目はこんな感じの一杯になると思うが、今回ベースにしたのは
牧野酒造さんから今月発売された「大盃梅酒『紅の舞』」。

榛名の清冽な伏流水で仕込まれた日本酒「大盃」は牧野酒造の代表銘柄
で、各種鑑評会でも高い評価を得ている。その品質確かな酒に高崎産の梅
「紅の舞」を漬け込んだのがこの商品だ。

紅の舞は群馬県農業技術センターがスモモに梅を交配し育てた新品種
で、大きな果実と何よりその鮮やかな紅色が特徴。2007年に品種登録され
昨年から高崎の榛名、箕郷地域を中心に収穫が始まった。

紅色を生む物質アントシアニンは果実の熟度が進むにつれ量を増す。ただ
通常の梅に比べて管理が面倒なため収穫される量はまだわずか。

牧野酒造さんのこの梅酒は幸運にも市内の同酒造特約店で購入できたが、
すでに酒蔵に在庫はないとのこと。本年産の紅の舞で仕上げられる梅酒は
秋以降まで待たなければならない。

twilight3.JPGところでこの晩、持ち込まれた梅酒のアレンジを依頼されたバーテンダーの
Sさんは、「そのまま飲んだほうがおいしい」と敢て手を加えるのを渋っていた。

確かに果実のほのかな酸味とまろやかな甘味は野趣溢れる山葡萄のワイン
のようで、この地の土の恵みの豊かさを存分に感じさせてくれる。そんな新たな
逸品との出会いに、ひとり静かに乾杯した。

◎牧野酒造
 http://makino-sake.co.jp/

その食べ物がどれだけ美味いかを表現の仕方はさまざまで、雑誌などでは
「究極の」とか「絶妙な」といった言葉をよく目にするが、

分かりやすいのは「オレ、ごま塩でご飯3杯食べられる」とか「この○○一粒で
1週間生き延びられる」といった類の愛好者の実体験に基づくフレーズだろう。

高崎パスタの人気店「スパゲッティ専科はらっぱ」さんの看板商品に、「赤唐辛子と
ニンニクのトマトソース」がある。このパスタをそういうふうに表すとすれば、

 「このパスタ一皿でボトルワイン1本を空けられる」

 「土用丑の日には例年鰻重でなくこのパスタを食べている」
 
 「長期海外出張から帰国したら成田空港から直行して食べたい」
 
といったところだろうか。

2010summer7.JPGJR東日本から、7月1日から9月30日までの期間限定で「高崎街なか散策と
パスタの食事付きコース」という日帰り旅行商品が発売されることになった。

これは都心から高崎までの新幹線往復(指定席可)チケットに、はらっぱさんを
含む全4店舗から選べる高崎のパスタ店のチケットと、さらに中心街にある
スズラン百貨店内のガトーフェタハラダさんでのラスク引換券が付き8,200~
11,100円というお得な商品。

2名から利用でき、JRびゅうプラザ等で旅行当日の購入も可能。例えば7月1日
だと新幹線指定席利用で単純に往復するだけでも9,600円かかるところ、この
商品なら8,200円。

それにパスタの食事やラスクのお土産が付くわけだから、全国各地を食べ歩く
ご当地グルメファンにとって使わない手はないだろう。

2010summer8.jpg実際、はらっぱ社長の岩田さんによると、ここのところ県外からの来店者が
急増しているという。ガイドブックを片手にであったり、ネットの「高崎パスタ」の
該当ページをプリントしたもの持参だったり、それに本店の駐車場に目を向ける
と他県ナンバーが実に多い。

特に、休日など開店早々から満席になるので、地元ユーザーも安心していられ
ない状況だ。びゅう商品が発売になると、時刻表を持った人とかも増えるに違い
ない。

そう、記すのを忘れるところだった、
この赤唐ニンニクのパスタを言い表す際に、来月からもう1フレーズを加え
なければならなくなるだろう。

 「都内から新幹線往復料金を払っても食べに行きたい」、と。

◎JR東日本びゅう商品「高崎街なか散策とパスタの食事付きコース」
 http://view-web-magazine.eki-net.biz/00213_0709/?Page=12

◎スパゲッティー専科はらっぱ
 http://www.harappa.co.jp/index.html

全国スーパーの5月の売上高が同月単月で過去2番目の低水準だという。

昨日22日、日本チェーンストア協会が発表した既存店ベースの売上高は前年
同月比5.3%減の1兆204億円、前年実績を割り込むのは18ヶ月連続となる。
(6月23日付日本経済新聞)

天候不順により食品類が振るわず、長引く景気低迷に伴い消費者の節約志向
はまだまだ根強い。

そのような厳しい消費環境の中、セブン&アイ・ホールディングスが新たな事業
に着手した。今月初めにオープンした「アリオ北砂」を皮切りに、今後ショッピング
センター内に旅行取扱店とカルチャー教室を合わせた複合店舗を展開していく。

新事業の主体となるのはグループ会社のセブンカルチャーネットワーク。近隣の
自治体や、カルチャー教室と連携したツアーの企画(「セブン旅倶楽部」)など、
地域に密着し小口需要に照準を当てた旅行商品を順次発売する予定。

この旅行商品の第一弾に、高崎市物産振興協会のスイーツ店等をめぐるツアー、
「たかさきスイーツ&ぐんまB級グルメ王太田焼きそば」が商品化されている。

2010summer4.JPGこれは『「学び」と「体験」日帰りバスツアー』の一商品で、このブログでも何度か
紹介している群馬県観光国際協会のバスツアー「たかさきスイーツめぐり」を
ベースに、群馬東部の太田の焼きそばまで足を伸ばすというもの。

昨年から募集している「たかさきスイーツめぐり」はこれまで5回催行され、うち4回
は満員。また姉妹編として和菓子を中心とした「たかさき甘味めぐり」も過去3回
全てが満員、来月7月2日のツアーもキャンセル待ち状態の人気ツアーだ。

セブン旅倶楽部のツアーでは、都内からまず榛名山麓の「たまご市場卵太郎」さん
に立ち寄り、「ガトーフェスタ・ハラダ」さんでの工場見学とショッピング、そして
「レストラン・パリの朝市」さんで県産食材を使った本格フレンチでランチとなる。

地元で好評のこのツアーが都心の方にどれだけ関心を持っていただけるか。
まだまだ定着しているとは言えない高崎のスイーツの今後の動向を占う試金石と
なりそうだ。

2010summer5.jpgところで、有名スイーツ店がひしめく自由が丘や代官山といった都内の激戦区に
比べれば、高崎は店舗の集積密度や知名度でほとんど勝負にならないのは確か。

でも、高崎のスイーツについて自信を持ってアピールできる"強み"がある。

それが食材の生産地と加工地、販売店舗の近さ。フードマイレージの低さというか、
ビール工場で飲むビールは旨い、そんな感じか。食材の持ち味を生かすには、
ここでないとお店を開けない、という各店店主のこだわりが伝わってくる。

卵太郎さんは決してアクセスの良いところではない。高崎の市街地からは自動車で
ないと行けない。国道406号線を約30分の道のり。店舗は榛名山麓の自社鶏園の
ほど近く、澄んだ空気と清らかな水で健やかに育った鶏の産みたて卵を使ったプリン
やシュークリームを目当てに、休日は駐車場があふれるほど。

2010summer6.jpgガトーフェスタ・ハラダさんの埼玉県境にある新社屋兼工場はJR高崎線の車窓を
眺めていると、群馬に入ったと実感できるランドマーク的存在。もともとは旧中山道
新町宿に百年以上続く小さな菓子店だったことを知る人は少ない。

これまで物産担当者として、パリの朝市シェフの島崎さんの信念に感銘を受けた事
など、その都度この場でも記してきた。最近、群馬県広報課発行の広報に掲載され
ていた島崎さんのこの言葉が、個人的にとても気に入っている。

 豊富な食材が揃う群馬に触れて、
 「A級の食材はA級の料理にする。B級料理にしてしまっては、丹精込めて作った
 生産者に失礼だと思っています。」(群馬県・広報2010年2月号)

ツアーでは高崎のスイーツをじっくり堪能した後、一行は「ぐんまB級グルメ王」へと
向かう。他意はない。


◎セブン旅倶楽部 たかさきスイーツ&ぐんまB級グルメ王太田焼きそば
 http://203.216.215.132/7cn/tour/items/2010/05/post-52.html
 ツアー冊子は関東エリアのセブンイレブン等に設置されています。


◎たまご市場卵太郎
 http://www.sanki-rantaro.com/

◎ガトーフェスタ・ハラダ
 http://www.gateaufesta-harada.com/

◎レストラン パリの朝市
 http://www4.ocn.ne.jp/~paris/

日本百貨店協会が昨日21日発表した5月の全国百貨店売上高は既存店
ベースで前年同月比2.1%減、27ヶ月連続で前年実績を割り込んだ。

特に主要10都市を除く地方店舗は4.0%減と、都心に比べ回復が遅れている
地方店の実情が数字からも伺える(6月22日付日本経済新聞)。

一方で、高額品の売れ行きは回復基調にあり、消費に改善の兆しが見られ
るとも報じられている(同産経新聞)。

そんな薄日が差し込み始めてきたかという期待がほの交じる中、協会会員の
「食事処・小塙」の佐藤さんから明るい話題が届いた。

佐藤さんが持参してきたのが、老舗百貨店・松屋銀座の立派な装丁の「お中元
カタログ」。この2010年夏のギフトカタログの「特選ギフト」に、同店の豚角煮、
モツ煮等のセットが、

2010summer1.jpgさらに、カタログの1ページ目には同じく協会会員の「群馬のキムチ・ハマンチョ」
さんの「水キムチと冷麺セット」も掲載されている。

この2店は、来月7日から13日まで松屋銀座の催事に出店することも決定して
おり、ともに群馬の自然が生んだ食材の持ち味を生かした商品を大消費地で
売り込む。

小塙さんは今年3月にも同店に出店、持ち帰り弁当の売れ行きは当初の予定数
をはるか越えるという快挙を成し遂げた。名門百貨店のバイヤーとのギフト商品
の交渉も、あわせて進められていたらしい。

またハマンチョさんは開店2年足らずにも関わらず、テレビや雑誌、ネットメディア
等で多数取り上げられ、キムチ業界では全国的に注目されている。都内催事への
初出店を機に、いっそうの躍進が期待される。

2010summer2.JPG銀座松屋といえば、同じく当協会の「ガトーフェスタハラダ」さんのラスクを求める
行列が連日途切れることがないデパ地下。昨年、高崎パスタの「はらっぱ」の
岩田さんが催事出店準備で出向いた際、

何よりも嬉しかったのは、百貨店食品倉庫いっぱいに積まれ、店頭に並ぶのを
待つラスクの箱を目にした時だったという。そんなはらっぱさんも、同店催事では
持ち帰りパスタが連日売り切れ、一週間のうちに3回、4回とリピーターまで獲得。
百貨店担当者には「また出店してほしい」という投書があったとも関係者から聞いた。

2010summer3.JPG今月初めに開かれた高崎市物産振興協会の通常総会。総会後のロビーで何やら
真剣に意見を交わしていたのがこの3人。左から「はらっぱ」の岩田さん、「小塙」の
佐藤さん、「ハマンチョ」の岩田さんだ。

「売場レイアウト」や「ランチ対応」といった言葉が聞こえてきたから、都内百貨店
出店に向けてのアドバイスや戦略を互いに練っていたようだ。ともに当協会へは
平成21年度入会の3者、高崎の物産に新たな風を巻き起こしている。


◎松屋銀座 2010お中元カタログ
 https://mg-web.jp/summer/special.php#02 (ハマンチョ)
 https://mg-web.jp/summer/detail.php?pid=105152 (小塙)

◎食事処 小塙
 http://store.shopping.yahoo.co.jp/kobana/index.html

◎群馬のキムチ ハマンチョ
 http://www.rakuten.ne.jp/gold/hamancho/

鶏肉の梅酒煮

新聞の生活面に掲載される家庭料理のレシピが楽しみで、該当記事を
抜き取って保存している。

といっても「サワラの烏龍茶蒸し」やら「桜エビとニラのバターソテー」みたい
に食材準備や調理が面倒そうなものなど実際に作ることはほとんどない。

そんな中、普段は厨房に立たない者にとって、最も良心的なレシピを提供
してくれるのが、日本経済新聞土曜掲載の「かんたん美味」のコーナー。

家庭に常備してそうなメイン食材と調味料ででき、何より調理時間が短いの
がありがたい。読者層からしても、いつもは残業や飲み会で家族に面倒かけ
てるお父さんが、休日の家庭サービスできるようなコンセプトなんだろう。

先日、ホームセンターに出かけたところ、果実酒用の広口ビンが店舗入口
にたくさん陳列されているのを目にして、これは作れると思って取っておいた
レシピを思い出した。

それが、3月中旬の「かんたん美味」に出ていた「豚肉の梅酒煮」。あいにく
豚ロースのかたまりは我が家の冷蔵庫になかったが、冷凍の鶏ムネ肉が
あったのでこれで代用することにした。

【材料】(2人分)
 鶏ムネ肉かたまり 300g
 塩・こしょう      少々
 サラダ油            大さじ1
  しょう油        大さじ2 
 水           1カップ
 梅酒         1カップ

梅酒は、食事処小塙のはるこママにいただいた自家製梅酒を使用。
ブランデー仕込みの6年熟成という、普通に飲んでもすごく美味しいのだが、
敢えて料理にする。ベースリカーや砂糖の量により梅酒の味が変わるので、
調理の際は適宜調節を。 


【作り方】
鶏肉に塩、こしょうをふり手でもみこむ。

ume-tori1.JPGフライパンに油を熱し、表面に焼き色をつける。

ume-tori2.JPG鶏肉が浸るくらいに鍋に梅酒と水を入れ、沸騰したらあくを取り、時々裏返し
ながら弱火で30分煮る。間もなく部屋中にブランデーと梅の魅惑の香りが漂う。
鶏肉を取り出したら、煮汁にしょう油を加え煮つめてソースにする。

ume-tori3.JPG網焼きし氷水にサッとくぐらせた柴崎農園さんの完熟トマトと、先週娘が保育園
のイモ掘りで収穫してきたジャガイモをふかして付け合せに。
チェコ・ピルスナーウルケルのラガービールで晩酌にした。

ume-tori4.JPG梅エキスとブランデーの効果か、短時間の調理なのに鶏肉はホロホロと柔らかい。
手羽先の甘酢煮を上品にしたような、爽やかな梅の香りが口中に広がる。
当然、ビールもすすむ。

そして、ビールグラスを傾けながら、はたと思いついたのが鶏丼。ご飯の上に5ミリ幅
でスライスした梅酒煮を載せ、鍋に残ったソースをかける。焼き海苔を揉んで散らし、
一味唐辛子をひと振り。予想通り、というか期待以上の出来栄えに感激。

ume-tori5.JPG写真撮影後に飯はつゆだくにしたが、梅酒の酸味がほのかに残るのでさっぱりした
後味だ。小瓶のビール2本しか開けていないのに、写真のとおり手振れ防止機能が
効かないくらい酔いが回っている。確かにブランデー1カップ使ってるわけだし。

市内スーパーでも、ちょうど今、高崎産の生梅が店頭に並ぶ。こんな簡単に風味満点
な料理が楽しめるのなら、今年の梅酒作りは少し多めに漬け込んでみてもいいかも
しれない。

ume-tori7.jpg

続けざまに12回も「あなたは不幸」と宣告される。それも、「群馬県民である」
という、半ば先天的な理由がために。なのに何なのだろう、この至福な読後感。

それは、TBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」の毒蝮三太夫が巣鴨や練馬
あたりの地元スーパーに現れ生中継する(「ババァまだくらばらねぇのか」とか
いう対話の)コーナーで、

会場最前列に座り、蝮の御言葉を存分に浴びた後のお年寄りの気分みたいな
ものかもしれない。中継行ったことないから正確には分からないけど。

元毎日新聞記者で、高崎市在住の木部克彦さんの著書『群馬の逆襲』(彩流社)
が先月の発売以来、好調な売れ行きのようだ。

gyakusyuu1.JPG日経リサーチによる2008年の「地域ブランド力・ランキング」での群馬県最下位と
いう結果は、関係者(「本県関係者は・・・」とか使う方々)には確かに大きな衝撃
だったらしい。

そんな群馬県の、住んでいる者がなかなか気づかない魅力や知られていない
名産品にまつわるエピソードを紹介しながら、ここがどんなに恵まれたところか
ユーモアたっぷりに綴ったのがこの本だ。

木部さんは以前、当協会の特産品開発委員会で新商品開発にも関わっていた
ことがあり、組織的に名物づくりやブランド化を進めることの難しさなども率直に
記している。

一方で、地元で長く親しまれる「名物」、飲み水の質の高さ、自然と手軽に触れ
合える環境など外ではほとんど知られていない、また自分たちは当たり前のように
恩恵を受けている事々を再認識させてくれる。

真下だるまや微笑庵、鉢の木といった当協会会員の商品も随所で紹介されている
のも嬉しい。また特に群馬にはパッとした酒がない、という世評に対して、木部さんは
牧野酒造のお酒を取り上げ、「くやしかったらこの酒のんでみろ」と斬りつける。

「僕が優越感に浸るのは、(蔵元で)買ってきた牧野酒造の酒を飲む瞬間なんです」
この優越感、よーく分かります!

gyakusyuu2.JPG確かに、海がないことを除けば、ショッピングや交通面などの都市機能や温泉地、
アウトドアレジャー、ソフト・ハード両面の芸術文化、福祉環境、そして何より情深い
人々、生活する上で必要なものに欠くことはほとんどない。

そんな「幸福」があまりにも身近にあるのに、そのことに気づいていないことが、
もしかしたら群馬で暮らす者のいちばんの「不幸」なのかもしれない。

読み終えると群馬に住んでて良かった、そしてこれからも離れたくない、と実感
できるはず。

そして、そんな気持ちを誰か県外の人に伝えたくなる半面、知りもしないで勝手な
ことを言う人は放っておいて、この空間をそっと自分たちだけで独り占めしたくもなる。

と書き進めつつ、今週はじめNTVの人気バラエティ番組『秘密のケンミンショー』の
制作会社から地元ネタのリサーチがあったので、木部さんの本に書いてあったこと、
かなり使わせていただきました。

これまで物産展に出店したことがない事業者を一堂に集め、群馬県内の
産品の掘り起こしを図ることを目的とした『おすすめ!地域の物産市』が
本日から群馬県庁1階で開催されています。

bussanichi100616.JPG高崎市物産振興協会からは10会員が出店、うち6店が初出展です。
今年で3回目の実施となる今回のこの催事ですが、高崎からの出店者の
傾向は、

県内各地の食材をふんだんに使い、センスが光る品々に仕上げ提供して
いる点が挙げられます。

野菜生産者からフラワーアレンジのスペシャリスト、栄養士、フリーライター
と多彩な顔ぶれで野菜の魅力をおしゃれに引き出す「たかさきベジフル
倶楽部」さん。

昭和村産のタマネギを使ったジャムはバケットやクラッカーに合わせて簡単
にオードブルにできます。ほんのりした甘さから素材の良さが伺えます。

bussanichi100616-2.JPG高崎市吉井町の「マルカツ」さんでは定番商品の「上州浅漬け」各種を用意。
地元産のキュウリや嬬恋産のキャベツなどを手作りで仕上げた浅漬けから
は、新鮮な野菜の爽やか香りが漂います。

bussanichi100616-3.JPGバスツアー「たかさきスイーツめぐり」でもお馴染みのレストラン「パリの朝市」
さんでは県産の果物を用いたフレンチ・スイーツやドレッシングを販売。藤岡で
採ってきたばかりのラズベリーでスイーツづくりの真っ最中でした。

bussanichi100616-4.JPG「食事処・小塙」の佐藤さんの元気な売り声も聞こえてきました。群馬県優良
県産品にも認定された豚肉の角煮は下仁田産の「えばらハーブ豚」を使用。
試食する来場者で賑わい始めてます。

bussanichi100616-5.JPG高ベジ倶楽部さんの「完熟トマトと夏野菜スープ」や小塙さんの「おふくろ弁当」
も楽しみにしていたのですが、出店決定から開催まで期間が短くて用意できな
かったとのこと。

通常営業店舗での魅力ある品々を知る者としては、この催事で各店舗のお奨め
商品を100%出し切れていないのが少々残念でもありました。

「おすすめ!地域の物産市」は21日(月)までの開催、出店リストは協会HPトップ
ページからご覧いただけます。

豊川つながりで、もう一題お付き合いを。

現在の愛知県豊川市はかつて参州・三河国と呼ばれ、この地から越後の長岡
藩主をはじめ多くの近世大名を輩出した牧野一族が発祥している。

一族の起源は讃岐国とされ、戦国時代までに東三河に分布、土豪として栄え、
のちに宝飯郡、現在の豊川市牧野町に移り住み築城、牧野姓に改姓したと
されている。

もともと牧野氏は今川氏に属し、やがて徳川氏の家臣となる。この2氏のような
大きな勢力を持つことはなかったが、厳しい戦国の世を常に危機感を持ちながら
生き抜いた一族であったといわれる。

その堅実さは一族が残した家訓「参州牛久保之壁書」からも伺い知ることができる。
礼儀廉恥や基礎の大切さ、礼儀作法、節度や精練潔白な心、人とのかかわり方
といった教えは現代社会にも通ずるもので、地元の子供たちにも語り継がれて
いるそうだ。

その後、牧野氏は、天正18(1590)年、徳川家康の関東移封に伴い、三河国から
上州大胡(現・群馬県前橋市)二万石の城主となり、やがて、長岡藩(現・新潟県)
へ移る。牧野氏は歴代の藩主を務め、質実剛健の藩風で藩を発展させる。また、
三根山・小諸・笠間・田辺の各藩でも、牧野一族が幕末まで藩主を務めた。

以上、
前述の豊川市の友人Yさんから、昨年9月に送られてきた同市の「広報とよかわ」
からの抜粋だが、牧野氏が大胡城主だったという記述から浮かんだのが、群馬で
最も伝統ある酒蔵、高崎市倉渕町の牧野酒造さん。

inari3.jpg同時期に豊川市の博物館では「三河に興りし牧野一族」という企画展が開催され
ていて、Yさんに頼んで図録を一部取り寄せた。それを牧野酒造社長の茂実さんに
届けたところ、

どうやら三河の牧野氏と繋がりがありそうな気配。

まず家紋が同じ三枚の柏の木の葉を円であしらった「丸に三つ柏」という点。
三つ柏は植物紋として各地で多数見られる紋らしいが、丸で囲まれたものは珍しく
 「牧野柏」とも言われるらしい。

また立地。牧野酒造は旧信州草津街道(現在の国道406号線)の宿場だった権田に
創業、現在もこの地で酒造りが営まれている。この道筋は中山道の裏街道で善光寺
にも通じており、古くから人・物の行き来も盛んだったようだ。

さらに創業時期も元禄3年(1690年)と、牧野氏の大胡城主の期間と前後する。
三河の牧野氏との関連を調べに来た研究者もあった、とも牧野さんが話していた。

余談だが、豊川市から程近い愛知県の設楽町に、「関谷醸造」というやはり古い酒蔵
がある。代表銘柄は「蓬莱泉」。ふくよかな味わいはどことなく高崎の牧野さんのお酒に
近い気がする。酒蔵の佇まいや立地、規模も不思議と酷似している。

ところで、古くは「お江戸見たけりゃ高崎田町、紺のノレンがひらひらと・・・・・」と詠われ
中山道の宿場町として賑わった高崎は、現在も人・もの・情報が行き交う北関東随一の
交流拠点都市を標榜している。

これらの言葉が示すとおり、江戸または東京といった東の方面に対しての意識は常に
あるのに、案外西は盲点だったかもしれない。そして、時の流れの中で見過ごされ、
埋もれてしまっているヒントもそこには多いはず。そう、道は向こうにも続いているのだし。

◎牧野酒造
 http://makino-sake.co.jp/

いよいよ入梅した気配のここ数日、いなり寿司から市内の古い酒蔵、そして
旧街道へと思いを馳せている。

群馬の地元紙・上毛新聞の姉妹紙で、高崎周辺で毎週金曜日に折込される
情報誌「TAKATAI」の先週の一面は「『豊川稲荷』で誘客作戦」というタイトルで
高崎駅近く、大手前慈光通り商店街が新たに始めたイベントを紹介している。

商店街がある通町にある安国寺参道に祀られている「豊川稲荷」はあまり知ら
れていない(担当者もこの記事で知った)。これは1807年、この周辺が相次いで
火災に見舞われたことから、火伏せと除災招福の神として愛知県豊川市の
妙厳寺からご神体を分身、祀られるようになったもの。

毎年2月11日には稲荷神社の祭礼として「初午大祭」が、また毎月18日は地元の
奉賛会が祈願祭を行っているが、この豊川稲荷をより多くの方に知ってもらい、
さらに商店街の振興に役立てようと

毎月買い物客への絵馬を配布し祈願祭でのお焚き上げを行うほか、絵馬掛けや
絵馬に付けた抽選券を付け、景品には隣接する農産物直売所・フレッシュベジたか
の商品が贈呈されるイベントを展開するとのこと。また、絵馬はフレッシュベジたか
で奉納米付き100円で販売するそうだ。

この豊川稲荷の本山がある豊川市の市役所で広報やHPを担当している友人Yさん
がいる。出張がてら何度か高崎にも寄ってくれたことがあり、豊川稲荷のことなども、
以前から聞いていたのでいっそう興味深くこの記事を読み入ってしまった。

inari1.jpg愛知の豊川稲荷は600年前、室町時代に開創され、織田信長や豊臣秀吉、大岡
越前守忠相などの武人たちの信仰を集めており、京都の伏見稲荷とともに日本
三大稲荷とされ、年間数百万人の参拝者が訪れるという。

また、いなり寿司のルーツもこの豊川稲荷だという説がある。

19世紀初めごろ、稲荷にお供えしてあった油揚げの中に飯を詰めて寿司にした
ものが起源とされており、、豊川稲荷の門前町でも古くから「いなり寿司」が販売
されていた。

このような食の資源を地域おこしに活用しようと、豊川市では毎月17日「いなり寿司
の日」には各種イベントを開催、また同市のホームページでは「いなりずしマップ」も
掲載されており、見ているだけで楽しい。

Yさんの住むこの街に行く機会があれば、何よりもまず、いなり寿司を食べてみたい。
それは驚くほどの味ではないかもしれないし、一見何の変哲もない普通なものだと
想像するが、旅する者にささやかな楽しみを抱かせている点はこのユニークな取り
組みの一つの成果だと思う。

いなり寿司が生まれたのも、高崎で豊川稲荷が祀られたのも19世紀初め。
高崎のいなり寿司は豊川から伝わったのだろうか。味付けとか似ていたら面白い。

◎愛知県豊川市の『いなり寿司のページ」
 http://www.city.toyokawa.lg.jp/enjoy/200905220001.html

◎フレッシュベジたか
 高崎市通町59-1(安国寺となり)
 ℡ 027-321-0777 (9:30-18:30営業、水曜休)
 JAたかさきさんが運営する同店では、国府野菜本舗さんの手作りいなり寿司を
 販売、連日売れ切れる程の人気商品でもある。
  inari2.JPG

 


 

roma1.JPG自らに課せられた役割、または授けられた地位に対して、それを実際に世が
求める以上のものとして受け止めたり、または求められもいないことまで責務と
解釈し、そして身勝手に振舞ってしまうのは、いつの時代にも表出する人々の
性分なのだろうか?

塩野七生さんの小説『ローマ人の物語』を再読しながら、何度となくそんな思い
が浮かんできた。

『ローマ人の物語』は古代ローマの歴史を数々のエピソードや歴史家たちの
知見を交えながら綴った長編小説で、単行本全9巻が3年前に完結、文庫化
も進められている。

自宅アパートの倉庫に文庫の27巻までが埃を被っていた。3年前の朝日新聞
元日号に出版元の新潮社がこの小説を全面広告で紹介していてさっそく購入、
その年の正月休みの後半を過ごして以来しまってあった。

歴史を扱いながらも軽妙かつ簡潔な文章で綴られているので、どの巻もさっと
読み通せるが、現代生活にも通じる箴言が随所に散りばめられており、その
都度読み留まり考えさせられる。

先日「聞く耳を持たない」なんてご指摘を受けた我々が言うのも僭越だろうが、
このような政局不安定な時期に改めて読み返すこの物語には学ぶべき事柄
も多い。

例えば、
  情報は、その重要性を理解する人には必ず伝わる。≪第7巻≫

  もともとからして情報の重要性を知らない人間が相手を見くびるようになれば、
  普通でも入ってくる情報を集めることさえ怠るようになる。≪第10巻≫

――情報届いていたんだろうか・・・。


  トップというのは、勝負がかかっている場には絶対に自ら出向く必要がある。
                                        ≪第21巻≫
――確かに出向くの遅かったな・・・。


  意欲はあってもそれを実行できる立場になかったり、それを実行するに必要な
  力をもっていなかった人の場合は、非難することはできない。しかし、やろうと
  思えばできた人がやらないのは、ただ単に精神の怠惰にすぎない。≪第21巻≫

――「頑張った」んだそうです。


  治世が短ければ、誰だって善き皇帝でいられる  ≪第23巻≫

――ホントカヨ。

それから、当たり前の事だろうが、
  財政再建を迫られた場合にまずやることは、現状の正確な把握である。
    ≪第22巻≫

  いかなる事業であろうと、財源の確保なしには継続は望めない。≪第15巻≫

引用の最後に
  高度な政治上の技能の持主をトップにもつことが、いかにまれなる幸運で
    あるかは、人類の歴史が示す人間性の現実である。≪第20巻≫

私たちにも今度こそ幸運が訪れることを祈りたい。

roma2.JPG『グンマの休日』。
『ローマの休日』のパロディ?いや、当事者はすごく本気だ(と思う)。

来年7~8月に群馬県全域を対象に、JR各社による全国最大規模の観光宣伝の
機会となる『群馬デスティネーションキャンペーン』(群馬DC)が開催される。

キャンペーンの実施主体となる「ググっとぐんま観光宣伝推進協議会」に、当協会
会長も名前を連ねていることから、協会事務局の担当者にも関連通知が届くのだ
が、最近その度に同封されてくるのがこのメモ帳。

群馬出身のタレント、中山秀行さんと井森美幸さんがピクニックルックで尾瀬の
木道でポーズを決めている爽やかな光景。湿原にはCGで水芭蕉が消去され、
代りにキャベツが実っている。A1版の特大ポスターも同じデザインだが、当方、
事務局スペースが手狭で、何枚もいただいたのに貼れないのがとても残念。

同時に制作されたプロモーションビデオもすごい。登場するタレントは同じ。都心の
街頭の大型スクリーンで放映するらしい。

映像では、榛名湖や富岡製糸場を背景に二人が群馬においでとPR、さらにその
後ろを群馬名産の下仁田ネギ、焼きまんじゅう、高崎だるまが大量に飛び交う。
サルバドール・ダリの絵画を思わせるシュールな作品に仕上げられており、そこに
込められているであろう社会的メッセージを読み解くまでに、まだ私は至っていない。

そんな訳で、地域ブランド力調査でも最下位周辺を行き来している群馬のイメージ
アップに貢献しようと、TV等で最近ますます群馬をPRしてくれているお二人だが、
個人的に少しだけ注文。

焼きまんじゅうや下仁田ネギ、確かに全国に誇れる品々だと思うが、一県民としては
そんなネタをバラエティ番組でU字工事ら栃木や茨城出身の芸人さんと張り合ったり
するのは望んでいない。

ヒデちゃんにしろ、井森さんにしろ、長い芸能界生活の中で確固たる人脈を築いて
いるはず。そして自らの郷土土産や個人的にお気に入りの商品なども、多くの
著名人にプレゼントしてきたことだろう。そういう機会のエピソードを、ぜひメディアを
通して聞いてみたいもの。

番組的にはあまり面白くないかもしれないが、そんな少しばかり手前味噌な地元民の
期待も「群馬DCの顔」として大きな役割を担う二人が選ばれた理由なのでは、とも思う
のだが・・・。

初夏の真昼のバー談義

群馬県達磨製造協同組合理事長の中田純一さんは多趣味な方だ。
クラシック自動車からウェイトリフティング、香道・・・。またラーメン作りなどは
ダシの素材まで研究するほどのこだわりようらしい。

そして、羨ましくなるほどのコレクターでもある。
私が愛好家向けのカタログの中でしか見たことがないような垂涎の品々にも、
中田さんのところで思いがけず実物に触れられたりする。

機械式時計とスコッチウィスキー、仕事で中田さんの工房に伺うと、お互い共通
して関心がある話題で盛り上がり、ついつい長居してしまう。

先日おじゃました際は、高崎市内のバーについての情報交換。
ここ一年、街なかでは質感の高い落ち着いた雰囲気のバーが相次いで開店して
いる。前橋や伊勢崎といった高崎周辺からの移転も多いようだ。

malt1.JPGいま、高崎駅西口の徒歩10分圏内には、ホテル内のものも含め10軒を越える
オーセンティック・バーがひしめいている。

出張で訪れるビジネス客にも好評らしい。桃や梨、ブルーベリー、苺といった
地元で採れたばかりの果物を用いたカクテルを出してくれる店もあるし、商談を
済ませてどこかで食事した後、10時半までバーのカウンターでまったり過ごしても、
都内なら日付けが変わる前に帰宅できたりする。

また値ごろ感。高崎のバーでマッカランの30年をシングルで3ショットオーダーする
なら、往復の新幹線代を含めても銀座で飲むよりリーズナブル。実際、都内から
バー目当てで高崎まで訪れる人もいると聞く。

各店、席に着くと出てくる付出しにもバーテンダーのセンスが表れるもの。
お手製のチョコレートを試食させてくれたり、また近くの百貨店の物産展で見つけて
きた一品を出してくれたりする。

最近興味深かったのが「モツァレラチーズのたまり漬」。
お隣の前橋市の老舗漬物店「たむらや」さんの商品で、説明がなければ輸入物の
スモークチーズと勘違いする。シングルモルト・ウィスキーのソーダ割りと好相性
だった。

一言で「スコッチウィスキー」と言っても単独の蒸留所のもののみをボトルにした
シングルモルトから、複数の蒸留所の樽を調合したブレンド、また蒸留所の所在に
よりスペイサイド、ハイランド、アイランズ等々といったようにさらに細かく分類される。

自分は個人的には特にスモーキーと言われるアイラ地区のモルトが好きで、体の
調子が良い時は必ずここの銘柄を注文する。

そんなアイラ地区のモルトに合う一品が、カネト水産さんの「清流三昧ニジマスの燻製」
だ。高崎市の西端、倉渕地域の清流で大事に育てられたニジマスを、じっくり燻した
逸品で、1匹づつ真空パックされている。

malt2.JPGそのままいただいても美味だし、ライムを軽く絞りかけてもまたひと味違った味わいが
楽しめる。そして、目の前に置かれたボトルのスコッチが見る見る底をついていく。

話は戻り、先日中田さんの工房を後にする際、「飲みかけだけど」とスコッチの原酒の
ボトルを6種程いただいた。ちびりちびり鑑賞しようと思ったが、休日の昼酒にエンジン
がかかりあっという間に全て空けてしまった。

お礼も兼ねて、今度中田さんの工房に伺う際には、スコッチに合う一品を持参したい。
県内の物産商品リストとにらめっこしながら、理想の味覚の組合せを想像している。
今の私の懐具合という制約もあるが、物産担当者としてのセンスと眼識が問われる
品選びに、心を弾ませている真っ最中。

◎カネト水産
 高崎市倉渕町川浦3900-156
  TEL/FAX 027-378-3132
  http://www8.wind.ne.jp/wakaba/kaneto_top.html

R18のウィンク画像

衣替えの季節である。

とタイトルの「R18」に続けて書き進めているが、別に18歳未満閲覧禁止の
画像が出てくるわけではないので、あらかじめお断りしておく。

R18、国道18号線バイパスの豊岡地区の入り口で、行き交う人を見守りながら
微笑ましく迎えてくれるのが5体の高崎だるまだ。

この辺りには高崎だるまの工房が点在しており、ここが「だるまの里」だという
目印と、通行者の交通安全を祈りこの特大のだるまが設置されている。

当然、雨の日も、雪の日も、また上州の空っ風が吹き付ける日もずっとここに
座り続けているわけで、定期的なメンテナンスが必要となる。

wink daruma.JPG今月はじめ、群馬県達磨製造協働組合会員の職人らが中心となり、お色直し
が施されたのだが、ウィンクしていたり、キラキラ瞳だったり、と今までにない
ユニークな表情に仕上げられている。

達磨組合理事長の中田さんに伺ったところ、若手の職人たちが遊び心で、その
場の思いつきで描いてしまったらしい。その中には、このブログでも紹介している
W杯や群響、モノトーンといった創作だるまの作り手たちの名前も挙がっていた。

高崎だるまの新しい時代を象徴するような微笑ましい出来事だと思う。やりすぎ
では、といぶかしがる組合役員さんもいたようだけど。

ちなみに、この5体のだるまの顔はそれぞれ異なる職人により手描きされている。
なので職人による筆致の違いもよく分かり、ついつい見入ってしまう。

ところてん記念日

食べ物の好き嫌いはほとんどない物産担当者にも、一つだけどうしても食べ
られないものがあった。ところてんである。

ゴルゴンゾーラ・チーズも、イノシシや鹿といったジビエ料理も、くさやの干物も
躊躇いなく、というより自ら進んで口に運ぶのに、ところてんだけはどうしても
食指が動かなかった。

夏のプール帰りの駄菓子屋の店先で友達が嬉しそうに食べていても、食品
スーパーで買ってくれと言わんばかりに涼しげに陳列されていても、これまで
そんな光景に何となく目を逸らし続けてきた。


高崎一の繁華街である柳川町の入口、柳通り交番の数軒先に、Cというバー
ともスナックとも言えない小さなお店があった。

フランス語で「歌集」を意味する屋号のこのお店は山形出身の情深いママが
一人で切盛りしていて、勤め始めの私たちの懐具合を分かっていて、一見さん
が残していったらしい高そうなブランデーやウイスキーなどをこっそり飲ませて
くれた。それでもいつも会計は一人2,000円だった。

10年前、新しい世紀もこのお店で迎えた。「ママの年越しそばはおいしいの」と用意
してくれたそばは乾麺をお店の小さなガス台で茹上げて、ヤマキの濃縮麺つゆ
を薄めたものだったけど、自分の中で最も印象深い年越しそばとして記憶に残る。

「××君も、そろそろ身を固めないと」と、二歳下の看護婦さんを紹介されたことも
ある。その後一緒にどんな映画を観にいったり、どこに遊びにいったかは忘れた。

そう、お好み焼きのシイタケが食べられない子だったことだけは憶えている。
何度目かのデート、仕事帰りで相方はナース服にフリース、こちらは三つ揃いの
スーツにブリーフケースだったので、傍目には訳ありげな青年医師と看護婦みたい
だったかもしれない。


ちょうど今頃の季節だったかと思う。ママの店で付だしに出てきたのがところてんだった。
これだけ面倒見ていただいていたから、食べられないとも言えず、小鉢いっぱいの
ところてんを息を止めて一気に流し込んだ。

「ママのところてんは美味しい」と言ってしまったのは、自分なりに「いい子」を演じ
ようと必死だったのかもしれない。以来、お店のカウンターに着くたびに、ところてん
を出してくれるようになった。

私にとっては涼味というより震えがくるこの一品が苦痛で、次第にお店に足が向かなく
なり、しばらくするとCの店先に「テナント募集中」とのプレートが張り出されていた。


先週、バスツアーの添乗で「祐八こんにゃく」で知られる「市川食品」さんに伺った。
営業部長の市川さんによる群馬県産こんにゃくの話は興味深く、いくつかのエピソード
は後日この場で紹介したい。

工場のガラス越しにこんにゃくの製造過程を見学し、出来立てのこんにゃく料理各種を
試食、そして突き出したばかりのところてんが訪問者に振る舞われた。

なぜかこの時は今までと違い、ところてんがとても美味しそうに見えた。美味しかった。
添乗業務でなければ、遠慮なく何度もおかわりしただろう。

その日は何だか嬉しくて、家に帰ってからところてんが美味しかった話をずっと家族に
していた。「あんなに食べられないって言っていたのに」と呆れ顔の同居人だったが、
昨日、冷蔵庫に市川さんのところてんが買い置きしてあった。近所の食品スーパー、
フレッセイ大類店で買えるらしい。

いよいよ夏を向かえ、市川さんのところてんは、これから我が家の冷蔵庫の一角を
占めることになるだろう。今年は爽やかな夏が過ごせそうな気がする。

tokoroten.jpg◎祐八こんにゃくの株式会社 市川食品
 http://www.yuuhachi.co.jp/

  6月6日(日)は同社工場にて恒例の「こんにゃく祭り」が開催されます。