自らに課せられた役割、または授けられた地位に対して、それを実際に世が
求める以上のものとして受け止めたり、または求められもいないことまで責務と
解釈し、そして身勝手に振舞ってしまうのは、いつの時代にも表出する人々の
性分なのだろうか?
塩野七生さんの小説『ローマ人の物語』を再読しながら、何度となくそんな思い
が浮かんできた。
『ローマ人の物語』は古代ローマの歴史を数々のエピソードや歴史家たちの
知見を交えながら綴った長編小説で、単行本全9巻が3年前に完結、文庫化
も進められている。
自宅アパートの倉庫に文庫の27巻までが埃を被っていた。3年前の朝日新聞
元日号に出版元の新潮社がこの小説を全面広告で紹介していてさっそく購入、
その年の正月休みの後半を過ごして以来しまってあった。
歴史を扱いながらも軽妙かつ簡潔な文章で綴られているので、どの巻もさっと
読み通せるが、現代生活にも通じる箴言が随所に散りばめられており、その
都度読み留まり考えさせられる。
先日「聞く耳を持たない」なんてご指摘を受けた我々が言うのも僭越だろうが、
このような政局不安定な時期に改めて読み返すこの物語には学ぶべき事柄
も多い。
例えば、
情報は、その重要性を理解する人には必ず伝わる。≪第7巻≫
もともとからして情報の重要性を知らない人間が相手を見くびるようになれば、
普通でも入ってくる情報を集めることさえ怠るようになる。≪第10巻≫
――情報届いていたんだろうか・・・。
トップというのは、勝負がかかっている場には絶対に自ら出向く必要がある。
≪第21巻≫
――確かに出向くの遅かったな・・・。
意欲はあってもそれを実行できる立場になかったり、それを実行するに必要な
力をもっていなかった人の場合は、非難することはできない。しかし、やろうと
思えばできた人がやらないのは、ただ単に精神の怠惰にすぎない。≪第21巻≫
――「頑張った」んだそうです。
治世が短ければ、誰だって善き皇帝でいられる ≪第23巻≫
――ホントカヨ。
それから、当たり前の事だろうが、
財政再建を迫られた場合にまずやることは、現状の正確な把握である。
≪第22巻≫
いかなる事業であろうと、財源の確保なしには継続は望めない。≪第15巻≫
引用の最後に
高度な政治上の技能の持主をトップにもつことが、いかにまれなる幸運で
あるかは、人類の歴史が示す人間性の現実である。≪第20巻≫
私たちにも今度こそ幸運が訪れることを祈りたい。
『グンマの休日』。
『ローマの休日』のパロディ?いや、当事者はすごく本気だ(と思う)。
来年7~8月に群馬県全域を対象に、JR各社による全国最大規模の観光宣伝の
機会となる『群馬デスティネーションキャンペーン』(群馬DC)が開催される。
キャンペーンの実施主体となる「ググっとぐんま観光宣伝推進協議会」に、当協会
会長も名前を連ねていることから、協会事務局の担当者にも関連通知が届くのだ
が、最近その度に同封されてくるのがこのメモ帳。
群馬出身のタレント、中山秀行さんと井森美幸さんがピクニックルックで尾瀬の
木道でポーズを決めている爽やかな光景。湿原にはCGで水芭蕉が消去され、
代りにキャベツが実っている。A1版の特大ポスターも同じデザインだが、当方、
事務局スペースが手狭で、何枚もいただいたのに貼れないのがとても残念。
同時に制作されたプロモーションビデオもすごい。登場するタレントは同じ。都心の
街頭の大型スクリーンで放映するらしい。
映像では、榛名湖や富岡製糸場を背景に二人が群馬においでとPR、さらにその
後ろを群馬名産の下仁田ネギ、焼きまんじゅう、高崎だるまが大量に飛び交う。
サルバドール・ダリの絵画を思わせるシュールな作品に仕上げられており、そこに
込められているであろう社会的メッセージを読み解くまでに、まだ私は至っていない。
そんな訳で、地域ブランド力調査でも最下位周辺を行き来している群馬のイメージ
アップに貢献しようと、TV等で最近ますます群馬をPRしてくれているお二人だが、
個人的に少しだけ注文。
焼きまんじゅうや下仁田ネギ、確かに全国に誇れる品々だと思うが、一県民としては
そんなネタをバラエティ番組でU字工事ら栃木や茨城出身の芸人さんと張り合ったり
するのは望んでいない。
ヒデちゃんにしろ、井森さんにしろ、長い芸能界生活の中で確固たる人脈を築いて
いるはず。そして自らの郷土土産や個人的にお気に入りの商品なども、多くの
著名人にプレゼントしてきたことだろう。そういう機会のエピソードを、ぜひメディアを
通して聞いてみたいもの。
番組的にはあまり面白くないかもしれないが、そんな少しばかり手前味噌な地元民の
期待も「群馬DCの顔」として大きな役割を担う二人が選ばれた理由なのでは、とも思う
のだが・・・。