2010年7月アーカイブ

噂には聞いていたけど、平日なのにすごい人出だった。

毎日放送土曜朝の情報番組『知っとこ!』の先週の回(7月24日)に、
「"この夏オススメ!今すぐ行きたい パワースポット欲張り旅"のこと知っとこ!」と
題して高崎の榛名神社が紹介された。

放送後、ホントに「今すぐ」来ちゃった模様。同日お昼あたりから県内はもちろん埼玉、
東京といった他県ナンバーの車が増え始め、神社入口は一時渋滞になったそうだ。

そんな話を今朝、榛名神社入口(社家町)の宿坊の奥さんから伺った。
昨日から降り続いた雨もひと段落、榛名の杜の爽やかな空気と心地よい陽射しのもと
立ち話をしているその間にも、何組ものカップルが参道を登っていくのが見えた。

「金運向上」やら「恋愛成就」にご利益がある、といった触れ込みで全国各地のパワー
スポット巡りが人気だ。ただ、そんな俗っぽい目的などなく訪れたとしても、この
榛名神社では非日常的に癒される本当にスピリチュアルな空間だといつも感じる。

oomiya 0730 1.JPG【写真】
途中、菓子処おおみやさんに立ち寄った。

昨年から「かりんとうまんじゅう」が大ブレイク、全国的なメディアやネットでも紹介され、
同店常連客でも未だに入手困難、1個90円の小ぶりな饅頭は地元では「茶色いダイヤ」
などとも呼ばれている。

おおみやに続く類似品も各地で発売されている。群馬県が今年春に発行した
「THEまんじゅうガイドブック inぐんま」 でも数店舗で「かりんとうまんじゅう」が確認でき
さえする。

でもそこは元祖の強みか、もらって有難がれるのはおおみやさんのものだし、いちばん
美味しいのも同店だと誰もがいう。

oomiya 0730 3.JPGそんな「かりんとうまんじゅう」に最近新商品が登場した。

「きな粉がけかりんとうまんじゅう」は5個入り500円。地黒な生地に万遍なくきな粉がまぶ
されている。

まだ食べていない。今日はカウンターに数箱あったのでさあ購入しようと心弾ませていた
ところ、「それは私のよ」と言わんばかりに背後から突き刺さるお客さんの視線を察知し、
身の安全の考え今回は諦めた。


ところで、おおみやさんは来月12日放送予定の日本テレビ『秘密のケンミンSHOW』で
紹介されるそうだ。店主の大塚千真喜さんが嬉しそうに話していた。

この番組を見てかりんとうまんじゅうを買いに行きたいという方、所在地は下記のとおり
です。どうかお間違えないように。

ちなみに、大塚さんは榛名神社とも浅からぬご縁がある方らしい。かりんとうまんじゅうの
ヒットと神社のご利益の関係、ないとは言えないかもしれない。物産担当者としても、
やはり少しばかりあやかりたいところ。


◎御菓子司おゝみや
 高崎市下室田町1068
  ℡ 027-374-0075
  9時開店、水曜休

今でも「甘酒」は俳句の季語辞典を見ると夏の季語となっている。

大量のブドウ糖とビタミン類、アミノ酸を含む甘酒は、現代の医療に
当てはめてみると栄養補給の点滴と同じ。

夏の厳しい暑さに老人や子どもたちは体が衰弱し、夏を越せない
人も少なくなかった。

そんな時の一杯の甘酒は弱った体に活力を付けていたし、江戸や
大坂市中には、夏になると甘酒屋の売り声が響いていたという。

日本経済新聞に毎週火曜日に掲載される発酵学者の小泉武夫さん
のエッセー『食あれば楽あり』、今日のお題は「夏の甘酒」と題して、
紹介されているのが上のエピソード。

そして親切なことに甘酒の作り方まで記されている。

デパートなどで販売されている米糀を茶碗1杯分に対してご飯3杯分、
お湯(60℃ぐらい)7杯分を加えて混ぜ合わせ、電気炊飯器などで55
~60℃に保ち一晩置くと、トロトロに溶け合った甘酒ができるそうだ。

高崎には創業430年の「糀屋」さんがあり、米糀ももちろん販売して
いる。小泉先生のレシピのとおり作ってもいいけど、糀屋さんでは
「甘酒」も売っている(320g450円)。

koujiya-amazake.JPGのサムネール画像先日、同店の飯島社長さんがお店で出して下さった甘酒は、グラスに
甘酒を注ぎその倍量の冷水を加え氷を浮かべたもの。

体の芯までじっくりと染み込んでいくような、優しく上品な甘味。グラスの
底に残る純白のお米の粒まで、掬って食べたくなる後を引く旨み。
こういうのを「滋味」っていうのだろうと実感する。

最近、高崎でまち歩き用の携帯マップが発行された。2種あるうちの
ひとつが歴史編「ぶらり中山道高崎宿」で、この糀屋さんもルート上で
紹介されている。

このマップを使った、市内の観光ボランティアガイドによるまち歩きツアー
がこの週末からスタートし、連日猛暑日を記録する中にもかかわらず
30名近い参加者があったそうだ。

そんな中、この糀屋さんの甘酒は炎天下のまち歩きにもお供にしたい
一品と言えそうだ。ぜひお試しを。

◎株式会社 糀屋
 高崎市元紺屋町13
 ℡ 0120-12-5028
   http://www.komenohana.com

来週の7月26日は「土用丑の日」です。

今年は高崎の老舗割烹、魚仲さんの鰻で英気を養うんだと決めて
いたところ、偶然にも昨日、知り合いが焼きたての蒲焼きを届けて
くれました。

何という幸運!そんな訳で、昨晩は地元で長く親しまれてきた伝統の
味をじっくりと堪能した次第です。

敷居の高いイメージの割烹料亭ですが、魚仲さんではランチタイムに
2,100円でうな重をいただけます。なので自分へのご褒美的に、ちょっと
贅沢な昼食で同店に訪れたりしてました。

そんな折、あらためてこのお店の鰻を食べてみたいと思ったのは、
今年の当協会年次総会の際、社長の羽鳥さんから聞いた言葉に驚いた
からです。

魚仲さんの創業は1881年、羽鳥さんがおっしゃるには鰻には「100年の
タレ」を使っているというのです。つまり「創業以来継ぎ足し」というわけ
です。

そんなありがたい品が、こんなに身近にあるとは・・・。
まさに「食の市民遺産」とも言えましょう。

uonaka.JPG魚仲さんでは、しょう油や砂糖を秘伝の割合で混ぜ合わせ3ヶ月程寝せて
から、古いタレに継ぎ足すとのこと。その伝承のタレは厨房の床下に、
小さな壺に入れられて大事に使われています。

その味は、少し辛めなところが特徴。その点は何となく「上州」な感じが
します。

ところで、冒頭で昨晩私は「じっくり堪能した」と記しましたが、実は鰻一本分
の蒲焼きを、もうすぐ3歳になる娘と分けていただきました。

子どもの味覚は正直なものです。ふだんは魚など自ら口に運ぶことのない
娘ですが、ほぼ半分をみるみるうちに平らげていました。

何とか平穏に確保したもう半分を、発泡酒とともにちびりちびりと味わったの
が本当のところです。

◎割烹 魚仲 羽鳥修司さん
 高崎市九蔵町17
 電話027-322-2428
 http://www5.wind.ne.jp/uonaka/

最近このブログが「物産日記」というより担当者の「読書日記」みたいに
なっていて、そんな意見も身内の閲覧者から寄せられている。

室内傾向の強い私としては、読書しながら感じたこと、想像したことなど
書き綴ったりするのを結構楽しんでいるのだが、あまり独りよがりに
なってもいけないと自戒したりもする。

そんなこのブログで、案外好評なのが「料理レシピ」の回。という訳で、
今回は簡単につくれる夏の一品の紹介。

「島ラー油」が火付け役となり、「塩ほん酢」、「柚子胡椒」といった地域
食材を活かした、または地元だけで長く使われてきた調味料が全国的に
人気を呼んでいる。

それらは「ご当地調味料」などと呼ばれ、ネット通販でも特集が組まれたり、
それだけを集めたガイド本が出たり、また「ご当地調味料専門家」なんて
方まで現れ連日テレビに登場している。

高崎にも、全然知名度はないけど物産担当者お気に入りのご当地調味料
がある。それが当協会会員の「下平農園」さんの『とうがらし辛味噌』。

kurabuchi pasta1.JPG長野県境に接する高崎市倉渕地域は、昼夜寒暖の差のある気候や清冽な
水に恵まれ稲作に適した土地で、天日干しの「はんでえ米」ブランド銘柄にも
引けをとらない高崎の隠れた名産品の一つ。

そんなおいしいお米にピッタリな常備材として、米生産農家の下平さんが
商品化しているのがこの『とうがらし辛味噌』だ。

地元産の味噌に自家農園で収穫された4種の唐辛子を混ぜこみ、みりんや
砂糖、鰹節を加えてゆっくり加熱して仕上げた手作りの味。

食欲がない時や食卓にもう一品ほしい時などにとても重宝するこの辛味噌で、
以前から作ってみたいと思っていたのがスパゲッティ。前橋で最高気温38度
を記録したのを機に、意を決して厨房に立った。

『辛味噌スパゲッティ』
【材料】(1人分)
 スパゲッティ(乾麺) 120g
 唐辛子みそ      大さじ3
 豚ひき肉         80g
 ぶなしめじ       50g
 あさつき          2本
 みょうが         1/2個
 サラダ油        大さじ2
 ごま油          大さじ1
 日本酒          50cc
 塩             適量 
 刻み海苔        適量         

【作り方】
①ぶなしめじはひき肉と同じくらいに細かく、あさつきとみょうがは小口に
 刻んでおく。

②表示どおりにスパゲッティを茹でている間に、フライパンでサラダ油を熱し、
 ぶなしめじとひき肉を炒める。

③②の火が通ったら、唐辛子みそと日本酒を加えて均一に混ぜる。

④茹で上がったスパゲッティとごま油、茹で汁を少々③のフライパンに入れ、
 手際よくからめる。

⑤お皿に写し、あさつき、みょうがを散らし、刻み海苔を載せて出来上がり。
                               (以上、調理時間15分弱)

kurabuchi pasta2.JPG調理を始める前にピルスナーグラスを冷凍庫に入れてたらビールを切らし
ているのに気づき近所の酒屋に自転車を走らせた。出来上がりの味を想像
しながら選んだのが4銘柄。

調味料由来のピリリとした辛みが心地よく、パスタと薬味のシャキッとした
食感が食べていて楽しい。当然、ビールも進む。

ベストマッチは「シルクヱビス」。その名のとおり絹のような喉越しのエレガント
な味わいのビールだが、このどちらかというと野趣味系のパスタにすごく合う。

ただし同じくヱビスの『The HOP』は強めのホップがトッピングしたみょうがと
ぶつかってしまう印象であまりおすすめできない。むしろ発泡酒くらいのほうが
いいかもしれない。このパスタだと結構飲めてしまうので、経済的でもあるし。


◎倉渕んまい会 下平農園
 高崎市倉渕町
 ℡ 027-378-3236

俳優、俳人、エッセイスト等、幅広い分野で活躍する小沢昭一さんの
「ソースせんべい」に寄せる情熱は尋常でない。

今、私の手もとに小沢さんが書いた2冊の文庫本(『裏みちの花』、
『もうひと花』ともに文春文庫刊)がある。

その2冊に、「ソースせんべい」の記述は19箇所確認できる。アナログ
に数えたから、実際にはもっとあるかもしれない。(ただし、「ソースを
塗ったせんべい」「ソース味のせんべい」も含む)。

昭和4年生まれの小沢さんにとっては寿司やカツの美味よりも、「これが
あれば最高の好物」であり、「パリ、ロンドンで豪勢な料理をレストランで
食べた後でも、もう無性にたまらなくなりホテル自室でかじる」ほど。

「いちどでいいから、ソースせんべいで食い倒れてみたいと思っている」
し、「せんべい止めますか、それとも人間止めますか」とも自らに問いか
ける。ここまでになるともう麻薬みたいなものだろう。

そんな小沢さんのお気に入りのソースせんべいのとして、上記の文庫本
(『もうひと花』)の中で紹介されている当協会会員の商品がある。
それが
 
 高崎のたぬき屋という店の人気商品で、ソース味の小丸

その「上州たぬきや」さんは明治中期に東京浅草で創業、関東大震災の
直後に高崎に移転、現在でも街なかの高崎神社の程近くに店舗を構える。

伝統の手焼きにこだわり、お店の脇を通るとあたりには香ばしい匂いが
漂い、味付けに大きな笊で煎餅をころがす景気のいい音が聞こえてくる。

中でも「ソース煎餅」はロングセラーの人気商品。この街の多くの住人に
とって、おのおの思い出がある一品なのだ。

このソース味の小丸はシツこくなく、それでいて程よく辛さの利いた味加減。
お茶請けにはもちろん、ビールのお供としても好相性と、長く支持される
理由は家族みんなで楽しめるからでもあるだろう。

tanukiya.jpgところで、この文庫本『もうひと花』の巻頭には「高崎の洋食屋さん」という
エッセイが収録されている。

高崎駅を出て大通りをまっすぐ、突き当る一本手前の路地(西一条通り)
を右に曲がって左側に、こぢんまりとして、不動産屋かなんかと間違える
ような構えの洋食屋『西洋亭』があったという。

その佇まいは極めて目立たないけど、サッパリと清楚なお店で、ものの
うまさというもののなかに、郷愁という要素もあるとすれば、西洋亭の洋食は、
カツでもカレーライスでも、すべてそういう懐かしい味だったようで、

万事にひかえ目な一方で、味だけに力を入れていることがひしひしとわかる
お店だったそうだ。ただ寂しいことに、小沢さんが1987年にそう記した3年後、
西洋亭は閉店してしまったと追記されている。

何となく著者の高崎びいきなエピソードが続く嬉しい一冊。そんな小沢昭一
さんの講演会が、今週高崎で開かれる予定。

◎上州たぬきや
 http://tanukiya.com/

本日、ニッポン放送昼のバラエティ『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』で
一昨日から銀座松屋に出展中の「群馬のキムチ・ハマンチョ」の商品が
紹介されました。

番組内でお知らせしたリスナープレゼント商品は『水キムチと冷麺セット』です。
銀座松屋の今期お中元カタログにも掲載されている夏におすすめな一品。

「水キムチ」は大根やセロリ、青唐辛子などを植物由来のさっぱり味の辛口
スープに漬けています。個人的には購入してから一週間くらい発酵を進ませて
酸味が効いてきた頃の味が何ともいえません。

01mizukimuchi.JPGその他、松屋催事場ではハマンチョさんのバラエティ豊かな商品が用意されて
いますが、この時期のイチオシは群馬の旬な野菜を使ったキムチです。

『オイキムチ』は全国有数の生産量を誇る群馬県産キュウリを使用。瑞々しい
味わいはそもままでも美味ですが、つゆだく牛丼に漬け汁と一緒にトッピング
すると夏の食欲減退など軽く吹っ飛びます。

02oikimuchi.JPG『本気カクテキ』は甘味と辛味のバランスがとれた大根を用い、じっくり漬け込ん
でいます。素材が新鮮なので、漬けた後にもほんのりまろやかな甘味が残ります。

03kakuteki.JPG今日も朝から蒸し暑い陽気。そんなこの季節、群馬の大地の恵みたっぷりな
キムチで元気に乗り切りたいところです。

◎群馬のキムチ ハマンチョ
 http://www.rakuten.ne.jp/gold/hamancho/

本日、エフエム世田谷さんの番組『ぐっとモーニング せ・た・が・や』の情報
コーナーに出演しました。

アナウンサーの河西美紀さんの進行で、一昨日から銀座松屋に出展中の
『食事処・小塙』の商品を紹介しました。

番組内でお知らせしたリスナープレゼントの商品はこちらです。

『豚の角煮』
創業35年の秘伝のタレでじっくり煮込んだ角煮は、口の中でほろりほろりと
溶けていくほどの柔らかさ。河西アナも絶賛。

kobana kakuni.jpg『もつ煮込み』
上州・群馬県産の野菜やキノコもごろごろ入った味噌仕立てのもつ煮。
ハーブで育てた豚肉を使用、ニンニクや香辛料は入ってないやさしい味。
同局ディレクターも絶賛。

kobana motsuni.jpg『豚とろチャーシュー』
一頭の豚から2枚しか採れない超稀少部位を使用。脂身まで後味よく食べ
られる。地酒との相性も抜群です。

kobana tontoroc.jpg"豚肉の街"とか掲げている訳ではありませんが、街を見まわすとおいしい
豚肉料理が食べられるお店がひしめいているのが高崎です。

そんな私たちのお馴染みの味を、世田谷の皆さまにお届けします。


◎食事処 小塙
 高崎市上小鳥町525-1
 ℡ 027-362-4573
 http://store.shopping.yahoo.co.jp/kobana/index.html

ぼんやりの時間

ここ何日か、毎朝起き抜けにジョセフ・カントルーブの『オーヴェルニュの歌』を
流している。

まだ没して60年足らずの作曲家のこの作品は、南仏のオーヴェルニュ地方の
民謡を採譜して、管弦楽の色彩感溢れる伴奏を付けた歌曲集。オック語という
土着の言語で歌われる歌詞はどことなく素朴でやさしく響く。

中でも羊飼いの歌、『バイレロ Bailero』が傑出している。五線譜には記されてる
であろう小節を区切る縦の線の存在を全く感じさせない、緩やかに流れる旋律。
南仏の長閑な草原の風景や山々を抜ける芳しいそよ風が鮮やかに浮かんでくる。

頭の中を空っぽにして、身体ごと全てを委ねたくなるような音楽である。

今朝この音楽を聴いていると、どこからともなくカッコウの啼き声が聞こえてきた。
国道のバイパスに程近いアパート3階の居間まで、住宅街のコンクリの壁をはね
返りながら、案外近げに響いてくる。

長らくかけることがなかったカントルーブのディスクを取り出したのも、平穏な一日
の始まりを毎朝伝えていたかもしれないカッコウの存在に気づけたのも、その理由
は分っている。

もう一ヶ月以上、岩波新書の『ぼんやりの時間』という本を読み続けている。その
せいだ。

kohan yuhsuge.jpg約200頁程度なので、その気になれば数時間で読み終えられる位の分量だけど、
何となくもったいない気がして、鞄に入れたままいろんなところに持っていったり
するので、書店がかけてくれた紙のカバーはぼろぼろになってしまっている。

今年の春に発売されたこの新書の著者は辰濃和男さん。朝日新聞社で10数年
「天声人語」を担当されていた方で93年に退社後の現在はジャーナリスト。

ぽかんとしたり、ぼーっとしたり、何にも考えずにぼけっとしたり。
効率性やら先進性ばかりが追い求められる現代にあっては、そんな一見無駄に
思われる過ごし方はどちらかというと否定されている。

そんな気詰まりしそうな風潮に辰濃さんは警鐘を鳴らす。

自身の経験に加え、深沢一郎、ミヒャエル・エンデ、ターシャ・テューダーといった
先人の言葉を引用しながら、あえて急がず、無為を楽しみ、頭を空にして心を
解き放つこと、つまり「ぼんやり」と時間を過ごすことの大切さを説く。

   ぼんやりしている時間は非常に貴い

「戦後が生んだ屈指の思想家」として著書の冒頭に取り上げているのが哲学者で
詩人、随筆家、また画家でもある串田孫一さんの言葉。

多大な著作で知られる串田さんだが、特に『山のパンセ』など山登りを題材にした
エッセイは今でも広く読み親しまれている。

辰濃さんは、串田さんのすぐれた創作は「長い沈黙のなかで湧き水のように流れ
でてきたもの」、つまり「ぼんやりの時間を持つことが、すぐれたものを創りだす
上できわめて大切なものを与えて」いるはずだと述べている。

串田さんは山を歩きながら、気に入った場所を見つけると、その場で何時間も
ぼんやりと時を過ごすのが好きな人だったという。また、それがこの人の山歩きの
流儀でもあったらしい。その点で「ぼんやりすることをたのしむ」達人でもあった。

私には山歩きの経験はほとんどない。それでも、呼吸を保ちながら一歩一歩
足元を確かめながら、しかも愉しげに山頂を目指していくような串田さんの文章を
読んでいると、自分も登山でもしているような気分に浸れる。

そんな串田さんのエッセイ集『心の山』(角川書店)の中に、群馬の榛名山について
記された文章がある。

「あまり人の行かないところとして紹介されている場所は、大体知っている」ほど、
この人は榛名の山々に精通していた。

それは串田さんが「山といわれるものを最初に見た場所であり、また同時に山に
登った最初の場所である」こととも無縁ではなさそうだし、「私がこれからも機会が
あれば榛名の山々へ行ってみたいと思う」とも書いている。

もうそろそろ、榛名湖畔の湿原に敷かれた遊歩道ではユウスゲが可憐に花を咲か
せる頃。高原の、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込みながら、時が経つのを忘れて
ぼんやり過ごしてみたいもの。

makino-harunasan.JPG

                     牧野酒造さんの「榛名山」

新聞の書評欄や出版案内に記されたわずかな情報をもとに、まだ読んでもいない
小説に思いを馳せてみる。

そこに広がる想像の世界を書き綴るだけでも、ひとつの物語にはなるだろう。凡人
の作でも他人に見せたり聞かせたりしなければ迷惑をかけることもないし、結構楽
しめる。


読売新聞の夕刊(群馬では翌日朝刊も)に連載の新聞小説、来週12日から芥川賞
作家で若手実力派、青山七恵さんの『あかりの湖畔』が始まる。小説の舞台は
温泉街近くの湖畔に立つ土産物店。そこに暮らす三姉妹を温かく描いていくという。

「もしかしたら明日、何かいいことがあるかも」と思えるような小説を書くつもりだ、との
青山さんのコメントが掲載されている。連載が始まるまで、しばし想像を膨らませる
としよう。

ところで、そのモデルとなった場所は青山さん自身が子供の頃に両親とよく出かけた
北関東の温泉や湖畔なのだそうだ。嬬恋とか日光の中禅寺とか、それっぽいところは
いくつか思い当たるが、高崎の榛名湖だったらいいな、と淡い期待を抱いている。

harunakohan1.JPG「あかりの湖畔」、確かに榛名湖畔の灯りは最近多くの観光客の目を楽しませて
いる。

冬の風物詩としてすっかり定着してきた「榛名湖イルミネーション」。湖面に映し出さ
れる幻想的な照明は年々充実している。昨年までの4回の開催で来場者数も右肩
上がりだ。

準備にあたっては、湖面の電飾から宣伝、協賛金集めまでを土産店や旅館業を営む
地元の観光協会の若手メンバーらが行っており、手作り感あふれる光のオブジェや
来場者への細やかな心配りなど、厳寒の湖畔を訪れる者をあたたかく迎えている。

そんな彼らがまた意欲的なイベントをこの夏から始める。7月から9月までの毎週金曜
の夜、レーザー光線と音楽が共演する「スカイハイライトナイツ」だ。

これは湖畔にある3つの旅館やホテルからレーザー光線を照射し、音楽に合わせて
光線が色を変化させたり、様々な模様を映し出す。光線装置は国内では唯一となる
4台の設置、音声はFMラジオで聴くことができる。

先週このレーザー光線ショーの関係者向けの試験照射があったので行ってみたが、
一緒に行った者全員が帰りの道中ずっとその素晴らしさを語り続けるほど感動して
いた。

一般用のデジカメで撮影したけど全然写ってないのでここでは画像をアップできないし、
言葉でもどう表現していいか思いつかない。

東宝映画でタイトルバック前にスクリーンに現れるあの光線の模様が夜の湖面全体に
約30分間広がり続ける感じ、またはシンクロナイズドスイミングを水中で間近に音量
そのままで見る感じ、あまりいい例えができないのでやめておこう。

とにかく今の榛名湖を言い表す際に、この「あかりの湖畔」という言葉、すごく相応しい
んじゃないかと思う。


harunakohan2.JPG◎レーザー光線ショー「榛名湖スカイハイライトナイツ」詳しくは
 榛名観光協会サイト・はるなビへ   http://harunavi.jp/