この落語ツアーについて何回かブログで紹介していたところ、JAたかさきさんからタイムリー
に新商品が発売された。
商品名は「上州高崎米粉かりんとう」。県産の小麦粉と米粉、さらに小麦由来のオリゴ糖
を使用することで、軽やかな食感とほんのりした甘味の一品に仕上がっている。落語ファンと
して注目したいのがそのパッケージ。蔵のイラストには家紋「高崎扇」があしらわれている。
この高崎扇が落語と深い縁がある。
高崎扇はもともと高崎藩主・大河内家の家紋。幕末の頃、近代落語中興の祖、「大師匠」
とも呼ばれる初代三遊亭円朝が大河内輝聲から家紋付の羽織を拝領し、三遊派一派の
高座着に付けることにしたとの云われがある。今でも身近なところでは、『笑点』メンバーの
小遊三師匠の羽織にも見て取ることができる。
杉本章子の時代小説『ぶらり遊三』(文春文庫)でも、高座着にこの紋をつけることを許された
三遊亭遊三が高崎扇の霊験か、その後ぐんぐん人気が寄り真打に昇進する様子が記されて
いる。
ところで群馬県民なら誰でも暗誦できるくらいお馴染みの『上毛カルタ』の一札に「沼田城下の
塩原太助」がある。新治村に生れた太助は単身江戸に出て神田佐久間町の薪炭商山口屋の
下男となり、「本所に過ぎたるものが二つあり、津軽大名、炭屋塩原」と言わしめるほど、勤倹
節約で大きな財を成した。
明治9年、題材収集のため群馬県内を旅行した円朝は、この塩原太助を主人公にした人情噺
『塩原多助一代記』を創作、立身出世のストーリーはこの時代の人心をつかみ、修身の教科書
や歌舞伎の演目にも用いられ、作者自ら明治天皇の御前で口演されている。
往年の古今亭志ん生が高座にかけているが、今では殆ど聴かれることがない。幸い録音では、
先代の5代目古今亭今輔のものがビクターからCD化されている。録音年月日は1965年3月31日、
ちょうど45年前の東宝演芸会でのライブ音源だ。
群馬出身の今輔師匠による太助は同郷人として聴くと何よりリアル。師匠自らも「上州訛りだけ
は作った円生師匠より私の方が確かでございます」とマクラの部分で語っている。もし私が日本人
のいないどこかの国に長期滞在することにでもなったら、携えていきたい録音でもある。
群馬にはこれ以外にも多数の落語との縁がある。でもあまり知られていない。古典の舞台では
『蒟蒻問答』の安中、『鈴振り』の太田(大光院)、館林(善導寺)、『らくだ』のかんかん踊り
は上野村に残る。
みどり市の「ながめ余興場」は往年の演芸文化の雰囲気をそのまま残し、先日も円楽襲名披露
公演が盛大に開催された。草津温泉でこの冬からはじまった温泉寄席も既に100回以上開かれ
湯治客に大好評だ。
現役噺家も結構いる。当代の古今亭今輔師匠、落語界の「ゼイチョウ会長」春風亭勢朝師匠、
談志門下で著書多数の立川談四楼師匠、病人の舟木一夫のような桂ひた太郎師匠。若手
二ツ目で歌丸門下の桂夏丸は20代ながらもの凄い実力派でこれからが楽しみ。寄席で人気の
音曲師・柳家紫文さんも江戸・東京生まれではない。高崎市岩鼻町の出身だ。
5月27日に今輔師匠が同乗する『落語家と行く・笑福バスツアー』は「高崎編」としてある。それは
高崎以外での県内各所で様々なパターンでの実施の可能性があることを提案してもいる。
◎群馬県観光国際協会・主催ツアー 詳細はこちら
『落語家と行く・笑福バスツアー(高崎編)』
http://tabihatsu.jp/program/76011.html

